「ファイル」>「開く」と選択し、オープンパネルで目的のファイルを選択して「開く」をクリックします。または、目的のファイルをアプリケーションアイコンにドラッグします。
ファイル構造を大まかに理解しておくことが編集作業にとって有用です。
ファイルには、音声や映像などのメディアデータとそれらを再生するための再生情報が各メディア毎にトラックとして記録されています。
トラックには、トラックセグメントと言う単位でタイムマッピング(メディアデータの開始時間、再生時間、再生速度)がひとつ以上記録されています。メディアプレーヤーはトラックセグメントを順番にそのタイムマッピングにしたがって再生していきます。トラックセグメントの再生時間の合計がトラックの再生時間です。
トラックセグメントには何も再生されない空トラックセグメントを設定できます。トラックの最後のトラックセグメントを空トラックセグメントにすることはできません。
AV Sync Fixはトラックセグメントのタイムマッピングを修正して映像と音声のズレを修正します。
注意
トラックセグメントの仕様は「QuickTime File Format Specification」で定義されており、ムービープレーヤーはトラックセグメントに従って動画を再生するべきですが、Apple製(「QuickTime Player」「ミュージック」アプリなど)以外では、これらを無視して再生するものも存在します。
これ以降「トラックセグメント」を「セグメント」と表記します。
MOV、MP4ファイルでは、時間データを2つの整数値で記録されています。それぞれは分母と分子の関係で、分母にあたる整数値はタイムスケール、分子にあたる整数値をタイムバリューと呼びます。
例えば、タイムバリュー(638472)、タイムスケール(600)の場合、638472/600秒、すなわち、17分44秒と72/600秒。
AV Sync Fixの時間編集フィールドでは 00:17:44.072 と表示されます。一秒未満は72/1000秒ではないので注意してください。タイムスケールが 1000 であればミリ秒として表示修正ができますが、多くのファイルはそうではありません。
AV Sync Fixで時分秒を修正するときタイムバリュー値を意識することはありませんが、一秒未満の数値を修正するときはタイムスケール値を意識しなければなりません。
タイムスケール値と同じタイムバリュー値が一秒になるので、一秒未満の数値はタイムスケール(600)の場合、.000 ~ .599、タイムスケール(2997)の場合、.0000 ~ .2996 の範囲で表示または、入力できます。
また、0.5秒を入力するときはそれぞれ、.300、.1498または.1499となり、タイムスケール(2997)のような奇数値では正確な0.5秒を扱うことはできません。
ミリ秒単位の表示や修正ではないので少々やっかいですが、ミリ秒単位での修正を行うと途中で変換誤差が生じ、ユーザーの意図した結果から微妙にズレが生じる可能性があるためタイムスケール値を使っています。
タイムスケール値を変更することはできません。
MOV、MP4ファイルには、二種類のタイムスケールが定義されてます。同じ数値の場合もあれば違う場合もあります。
- ムービータイムスケール
ムービーの総合的な時間管理のタイムスケール。
「メディアの開始」以外はムービータイムスケールで管理されています。 - メディアタイムスケール
各メディアデータのタイムスケール。
通常、映像ではフレームレート、音声ではサンプルレートと関連しています。
「メディアの開始」のみメディアタイムスケールでの修正になります。
ムービー情報
- 再生時間:
動画の再生時間。自由に変更できますが、通常最長再生時間のトラックにあわせます。
ムービーの再生時間を修正 - タイムスケール:
ムービータイムスケール。総合的な時間管理のタイムスケール。
「メディアの開始」以外はムービータイムスケールで管理されています。
トラック情報
- 再生範囲:
スタート時間に遅延時間を入力すると、先頭セグメントに空セグメントが挿入されます。
終了時間を変更すると最後のセグメントの再生時間が変更されます。 - 再生速度:
セグメントの再生速度を設定します。Apple製ムービープレーヤー以外で設定速度に対応するはほとんどありませんので、1.00以外の設定は推奨しません。 - 再生時間:
セグメントがメディアデータを再生する時間。
最後のセグメントの再生時間を変更するとトラックの再生時間も変更されます。 それ以外のセグメントの変更では次のセグメントの再生時間の伸び縮みでトラックの再生時間に変更が及びません。
シフトキーを押して変更を確定(returnキーでの確定)すると、次のセグメントの再生時間の伸び縮みが起こらずトラックの再生時間が変更されます。 - メディアの開始:
メディアデータの再生を始める時間。時間はメディアタイムスケール。 - メディアデータ:
記録されているメディアデータの長さと、そのタイムスケール。
メディアタイムスケールはメディアごとに設定されています。
「メディアの開始」のみメディアタイムスケールでの修正になります。
修飾キーと「<」「>」ボタンクリックの組みわせ。
- 「コマンド」キー:タイムバリュー10ずつ後戻りまたは先送り
- 「オプション」キー:タイムバリュー100ずつ後戻りまたは先送り
- 「コントロール」キー:タイムバリュー1000ずつ後戻りまたは先送り
- 「シフト」キー:1秒ずつ後戻りまたは先送り
- 固定再生ヘッド:
タイムライン中央の赤い縦線。現在再生されている部分。 - 空セグメント:
無音、無映像のセグメント。先頭の空セグメントの再生時間がトラックのスタート時間になります。 - セグメント番号:
固定再生ヘッドにあるセグメント番号。
タイムライン上のドラッグは、トラックセグメントごとの修正になります。
ドラッグしたセグメントのメディアの開始時間が修正されます。複数のセグメントを同時に修正したいときは、commandキーを押して目的のセグメントを選択して、commandキーを押しながらドラッグします。
セグメントを右にドラッグしてメディアデータの始まりがセグメント内の開始時間を超えると、超えた時間の空セグメントが挿入されます。
先頭セグメントの場合、挿入された空トラックセグメントの再生時間がトラックのスタート時間になります。
トラックの「スタート」に時間を入力することが、先頭に空セグメントを挿入することや、既存の先頭空セグメントの再生時間を修正することになります。
シフトキーを押しながら:
2番目以降のセグメントをシフトキーを押しながらドラッグすると、メディアの開始時間の修正ではなく、ひとつ前のセグメントの再生時間の修正となります。ドラッグしたセグメントの終点は変わりません。メディアの開始時間を変更させずに同期修正ができます。ドラッグによる同期で、メディアの開始時間を変更させたくない場合に有用です。
例えば、1番目が空セグメントのとき2番目のセグメントのメディアの開始時間はそのトラックの始まりの音声になります。(図1)
2番目のセグメントのドラッグで同期修正を行うとトラックの始まりの音声が変更されます。(図1 ~ 図2)
トラックの始まりの音声をを変更したくないとき、シフトキーを押しながらドラッグします。(図1 ~ 図3)
セグメント間の境界をドラッグすると境界前後のセグメントの再生時間が修正されます。 セグメントエディタの「再生時間」が変化します。
タイムラインの各トラックにマークをつけてドラッグのガイドとして利用します。また、それぞれのマークが揃うようにメディアの開始時間を修正します。
- マーク:
固定再生ヘッドが示す時間にマークします。 - マーカー揃え:
ビデオまたはサウンドのマークされた時間がサウンドまたはビデオのマークされた時間と揃うように、セグメントの再生時間を修正します。
上のマーカー揃えはビデオをサウンドのマークに、下のマーカー揃えはサウンドをビデオのマークに揃えます。 - マーカーに移動:
マークされた時間が固定再生ヘッドに揃うように、動画の再生時間がスキップします。
通常、最長再生時間のトラックにあわせます。
「再生時間」に時間を入力するか、再生時間選択メニューから選択します。
「常に最長再生時間のトラックにあわせる」がチェックされていると、修正によるトラック再生時間の変動にあわせてムービーの再生時間も変化します。
「再生時間」フィールドに時間を入力したいとき、または、メニュー項目のトラックの時間から選択したいときは「常に最長再生時間のトラックにあわせる」のチェックを解除してください。
選択範囲を指定するには、「コントロール」>「選択範囲のみ再生」を選択して、イン/アウト選択マーカーをタイムバーに表示させます。イン/アウト選択マーカーをドラッグして選択を指定します。選択を微調整するときは、マーカーをクリックして選択状態にし、左右の矢印キーで調整します。
「コントロール」>「選択範囲を解除」を選択すると、イン/アウト両選択マーカーが再生ヘッダーの位置に移動し、選択範囲のない状態になります。
space または return | 再生・停止 |
command (⌘) + ↑ | ムービーの開始位置に移動 |
command (⌘) + ↓ | ムービーの終了位置に移動 |
option (⌥) + command (⌘) + ↑ | 選択範囲の先頭に移動 |
option (⌥) + command (⌘) + ↓ | 選択範囲の末尾に移動 |
← | 1フレーム戻る |
→ | 1フレーム進む |
command (⌘) + ← | 5秒戻る(デフォルト値) |
command (⌘) + → | 5秒進む(デフォルト値) |
option (⌥) + command (⌘) + ← | 30秒戻る(デフォルト値) |
option (⌥) + command (⌘) + → | 30秒進む(デフォルト値) |
option (⌥) + ← | 1秒戻る(デフォルト値) |
option (⌥) + → | 1秒進む(デフォルト値) |
control (⌃) + option (⌥) + ← | 0.5秒戻る(デフォルト値) |
control (⌃) + option (⌥) + → | 0.5秒進む(デフォルト値) |
J | 再生速度を低速に切り替える |
K | 通常再生速度 |
L | 再生速度を高速に切り替える |
M | 逆再生 |
早送り、巻き戻し時間の変更。
「コントロール」>「スキップ時間をカスタマイズ...」を選択。
それぞれ、0.5秒、1秒、3秒、5秒、10秒、15秒、20秒、30秒から選択。